中古車選びで気になるのが「法定整備付き」「法定整備別」「法定整備なし」という表記ではないでしょうか。特に法定整備なしの車両は価格が魅力的でも、購入後の故障や安全面が心配になりますよね。メンテナンス履歴が不明な車を選んでしまうと、後から高額な修理費用が必要になることも。
この記事では、法定整備の重要性から、整備なし車両を選ぶ際の注意点まで、具体的に解説していきます。
▼目次
中古車とは

中古車は一度でも登録された歴史を持つ自動車です。
新車に比べて購入価格を抑えられる一方で、走行距離や使用状態によって車の状態は千差万別です。特に近年は平均使用年数が長くなり、10年以上経過した車両も数多く流通しています。
中古車選びでは価格だけでなく、整備状態や修復歴の有無、メンテナンス履歴なども重要な判断材料です。信頼できる販売店を選び、第三者機関の車両評価も参考に、良質な中古車を見つけましょう。
中古車と新車どっちがいいのか知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→中古車と新車、どっちがいいの?違いやおすすめしたい人を解説
中古車の法定整備とは

中古車選びで悩むのが「法定整備」という言葉の意味ではないでしょうか。実は車検とは異なる重要な制度なのに、意外と理解されていないのが現状です。購入時の費用にも大きく関わってくるため、基本的な仕組みは知っておきたいところ。
ここでは、法定整備の目的から具体的な内容まで、わかりやすく解説します。
定義
道路運送車両法と自動車点検基準に基づく法定整備は、車の安全性確保と事故防止を目的とした整備制度です。
新車購入後1年目の12ヶ月点検から始まり、その後は12ヶ月ごとの定期点検が必要です。一般的な車検とは異なり、消耗部品の劣化チェックや予防整備まで含む包括的な点検を実施します。
整備記録は車両の履歴として残り、将来の故障予測や修理計画に役立ちます。さらに、中古車の売却時には整備記録の有無が査定価格に大きく影響するため、車の資産価値維持の観点からも重要な意味を持っているのです。
点検内容
法定整備では、エンジン、ブレーキ、ハンドル、サスペンション、排気ガス浄化装置など、走行安全性に関わる重要部品を細かくチェックします。特にブレーキは分解点検を行い、パッドやローターの摩耗状態を詳しく確認。タイヤの溝深さ測定やオイル漏れの点検、各種フィルターの汚れ具合確認なども実施します。
不具合が見つかった場合は修理や部品交換を推奨し、その内容を整備記録簿に詳細に記録します。定期的な点検により、予期せぬ故障を防ぎ、車の安全性と信頼性を高めることが可能です。
整備頻度
法定整備は新車登録1年後の12ヶ月点検に始まり、その後は12ヶ月点検を24ヶ月点検を1年毎に継続して実施します。
車検と同じタイミングで行われることも多く、多くのユーザーは車検整備と一緒に法定整備を受けています。ただし、年間走行距離が多い場合や過酷な使用条件下では、推奨整備時期を待たずに点検を受けることも重要です。特に中古車は前オーナーの使用状態が不明なため、購入直後の整備で車の状態を把握し、以後の整備計画を立てることがおすすめです。
車検との違い
法定整備と車検は、違う目的で行う点検です。
車検は最低限の保安基準適合性を確認する検査で、公道走行の可否判断が主な目的です。一方の法定整備は、車の性能維持と長寿命化を目指す予防的な点検整備です。消耗部品の劣化状態チェックや予防的な部品交換も含まれ、将来起こりうる故障の予防に重点を置きます。また、法定整備では細かな不具合も記録され、その後の整備計画に活用されます。
車検だけでは見落とされがちな潜在的な問題も、法定整備で早期発見できる利点があります。
法定整備にかかる費用

法定整備の費用は、12ヶ月点検で1万〜1万5千円、24ヶ月点検で2万円前後が相場です。ただし、これは点検費用のみの金額で、不具合が見つかった場合は別途修理費用や部品代が必要です。特に10年以上経過した車両では、複数の部品交換が必要になるケースも多く、状態によっては5万円以上の修理費用がかかることも。中古車購入時は、これらの整備費用も含めた総額で予算を考えましょう。
法定整備なしの車は違反?

法定整備は法律で定められた制度ですが、実は点検を受けなくても罰則はありません。
ただし、整備不良による事故を起こした場合は、重大な責任を問われる可能性があります。また保険適用にも影響するため、定期的な整備は車の所有者としての重要な責任といえます。特に中古車は、前オーナーの使用状態が不明なため、購入後すぐの法定整備がおすすめです。
法定整備なしの中古車を購入するデメリット

中古車選びで法定整備なしの車両を検討する際は、いくつかの重要なリスクを理解しておく必要があります。特に気をつけたいのは、車の寿命が短くなる可能性や安全面での不安、将来の売却時に価格が期待できないといった問題です。一見安く見える車両価格も、これらのデメリットを考慮すると、実は決して安くない選択かもしれません。
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
車の寿命が短い
法定整備を受けていない中古車は、エンジンやミッション、ブレーキなどの重要部品の状態チェックが不十分です。そのため、消耗部品の交換時期を逃したり、小さな不具合を見落としたりするリスクが高まります。特に10万キロ以上走行した車両では、予防的な整備や部品交換が重要になりますが、整備なしの車両はその機会を逃しがちです。結果として、本来なら防げたはずの故障が重大化し、高額な修理費用が発生することも。
また、重要部品の劣化が急速に進むため、予想以上に早く車両の寿命を迎えてしまう可能性が高いのが特徴です。定期的な整備を受けていれば10年以上乗れる車でも、整備不足により5年程度で買い替えが必要になるケースもあります。
安全性が保証されていない
法定整備なしの中古車は、ブレーキやステアリング、サスペンションといった重要な安全装置の状態が不明確です。整備記録がないため、これまでの点検履歴や修理歴も把握できません。
そのため、走行中の突然の故障や重大な不具合が発生するリスクが高まります。特にブレーキの効きが悪くなったり、ハンドル操作が不安定になったりする可能性があり、最悪の場合は事故につながる危険性も。また、エアバッグやABSなどの安全装置も、正常に作動するか確認されていないため、万一の際の安全性も担保されません。
売却価格が期待できない
法定整備を怠った車両は、中古車市場での評価が著しく低下します。整備記録がないため、これまでの車両管理状態が不明確で、潜在的な不具合リスクが高いと判断されるためです。
同じ年式・走行距離の車両でも、整備記録の有無で査定額に30~50%もの差が出ることも。特に高年式車や人気車種でも、整備履歴が残っていないと大幅な減額査定を受けます。また、買取業者も整備状態の不明な車両は敬遠しがちで、売却そのものが困難になることもあるでしょう。
逆に言えば、定期的な法定整備は、車の資産価値を守るための重要な投資といえます。整備記録は車両の品質を証明する重要な書類として、中古車取引で大きな価値を持つのです。
法定整備なしの中古車を買うメリットはある?

法定整備なしの中古車の最大のメリットは、購入価格の安さです。
同じ車種・年式でも、法定整備付きの車両と比べて10〜20万円程度安く購入できるケースがあります。また、自分で整備できる知識や技術がある方なら、部品代のみで整備コストを抑えられます。整備士の資格を持つ知人がいる場合も、安価な部品調達と合わせて大幅なコスト削減が可能です。
ただし、素人整備はトラブルの原因となるため、専門的な整備は必ず認証工場で行いましょう。
中古車の法定整備ができる場所

法定整備を実施できる工場には、国が定めた厳格な基準があります。指定整備工場や認証整備工場など、施設の規模や設備によってランク分けされており、それぞれの特徴を知ることが重要です。
ここでは、法定整備が実施可能な工場の種類や選び方のポイント、各施設の特徴について詳しく解説します。
指定整備工場
指定整備工場は、国土交通省から厳格な基準をクリアして認定された最上位の整備施設です。
設備や技術力、管理体制など、すべての面で高い水準が求められ、車検も含めた総合的な整備サービスを提供します。大型の設備投資が必要なため、主にディーラーや大手整備チェーン店に多く、比較的規模の大きな工場が中心です。
整備士も豊富な経験と高度な技術を持つスタッフが揃っており、最新の車両にも対応可能。整備記録も確実に残され、将来のメンテナンス計画も立てやすいのが特徴です。一方で、整備費用は他の工場より割高になる傾向があります。
認証整備工場
認証整備工場は、地方運輸局から認証を受けた整備施設で、分解整備を行う資格を持つ工場です。
小規模な町工場から中規模の整備チェーン店まで、全国に数多く存在します。指定整備工場ほどの設備は必要ありませんが、整備士の技術力や設備の基準は一定水準以上が求められます。比較的手頃な価格で整備を受けられる一方で、最新の車両や特殊な整備には対応できないケースもあります。
整備の質は工場によってばらつきがあるため、口コミや評判もチェックしながら、信頼できる工場を選ぶことが重要です。
法定整備なしの中古車を選ぶポイント

法定整備なしの中古車は、適切な選び方をしないと購入後のトラブルにつながりかねません。しかし、基本的なチェックポイントを押さえ、しっかりとした事前確認を行えば、良質な車両に出会うことも可能です。
ここでは、整備なしの中古車を選ぶ際の具体的なポイントについて解説します。
リスクやデメリットを把握しておく
法定整備なしの中古車は、外観や試乗だけでは分からない深刻な不具合を抱えている可能性があります。特にエンジン内部やミッション、電装系統の問題は、専門的な点検をしなければ発見できません。
また、整備記録がないため、過去の事故歴や修理履歴も不明確です。購入後の突然の故障や、予想外の修理費用発生のリスクも考慮に入れる必要があります。メーカー保証の継続ができない場合もあり、故障時の費用負担は全て購入者側の責任となります。
購入を検討する際は、これらのリスクを十分理解した上で判断しましょう。
信用の高い店舗で購入する
整備記録のない中古車を購入する場合、販売店の信頼性が特に重要です。
実績の長い大手ディーラーや、地域で評判の良い専門店を選びましょう。古物商許可証の確認はもちろん、過去の販売実績や顧客評価もチェックします。また、車両の状態について詳しい説明ができ、試乗にも快く応じる店舗を選ぶことがポイントです。不具合の発生時の保証内容や、アフターサービスの充実度も重要な判断材料となります。
購入前には必ず複数の店舗を比較検討し、安心できる取引先を見つけることが大切です。
中古車選びで失敗しないためのチェックポイントを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→中古車選びで失敗しないためにチェックすべき重要ポイントと注意点
購入後のメンテナンスや整備内容を学んでおく
法定整備なしの中古車を選ぶ場合、自分で基本的な整備知識を身につけることが重要です。
エンジンオイルの交換時期や、タイヤの空気圧チェック、各種フィルターの交換など、日常的なメンテナンス項目は把握しておきましょう。また、車両の異音や振動、ハンドルの遊びなど、故障の予兆となる症状についても理解を深めておくことが大切です。
整備マニュアルやメーカーの推奨点検項目を確認し、定期的な点検整備の計画を立てることで、突然の故障を防ぎ、車両の寿命を延ばせます。
まとめ
法定整備なしの中古車は、購入時の費用は抑えられますが、長期的には予想以上のコストやリスクが潜んでいます。特に安全面での不安は大きく、整備不良による事故は重大な結果を招く可能性があります。購入を検討する場合は、信頼できる販売店選び、購入後の整備計画、メンテナンス費用の見積もりなど、慎重な判断が必要です。
できる限り法定整備付きの車両を選ぶことをおすすめしますが、予算の都合で整備なしを選ぶ場合は、本記事で解説したポイントを参考に、リスクを最小限に抑える工夫をしましょう。
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